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【開所10周年記念式典祝辞】
この10年の間、多くの皆様にお力添えを頂いてまいりました。中でも、今日ご列席いただきました皆様には一方ならぬお世話になりました。ここに有難く厚く御礼を申し上げます。この施設を見学に来られるとほとんどの方が、他の施設と比べて入居者の表情が明るく穏やかであると言われます。これは、スタッフでは手の回らない分野で、ボランティアの皆様が入居者に関わっていただいていることの賜物であると思います。
(略)平成22年7月に5周年のお祝いをしてからのこの5年の活動といいますと、まず増設に取り組んだことです。平成25年秋から工事にかかり、昨年の7月18日には竣工式を行い、19日から1階ではリハビリを主体としたデイサービスセンター北館がスタートしました。そして8月18日には2階の特別養護老人ホームが始まりました。(略)平成18年から取り組んでいる学習療法では模範施設として認められるまでに成長しており、当施設の運営を学ぼうと全国から多くの人が視察に訪れています。また特養部門では介護力向上に取り組んできており、今回おむつ使用率ゼロを達成し岐阜県下で一番の成績を収めるに至っております。(略)そして開設以来スタッフには資格の取得を奨励してきましたが、今日介護福祉士の比率は90%に近くなっており、全国平均が50%未満という現状から比較すれば、十分に成果が現れてきていると考えています。今日までに125名の方が施設で亡くなられています。ほとんどの方が、ご家族に見守られて眠るように息を引き取られました。
(略)昨年、宗教家の井出俊郎さんを招いて死生観に関するお話を聞きました。主に親鸞上人の教えに基づくお話でしたが、仏教の教義には看取りに取り組むスタッフを導くものがあると痛感した次第です。(略)現在介護保険の運営に必要な資金は年間約8兆円、その50%は税金で、45%は保険料で、残りの5%が自己負担で賄われています。(略)超高齢化社会の到来が間近に迫っている今日、この制度をなんとしても守って行かなければなりません。そのためには、一つには税金と保険料の両方を払っている納税者の収入が安定していることが不可欠で、そのためには経済がグローバル化した今日、世界が平和で国内外の経済活動が活発であることが必要です。二つには納税者の数が将来に及んで量的に担保されていることが必要です。若者に職を与え、結婚と出産を促し子育て支援を充実させていくことで、納税者を増やしていかなければなりません。こうした努力が我が国の社会保障制度を守っていくもので、ひいては国民皆様の老後を保証していくことになります。
(略)昨年、恵峰ホームニュースに、ふくろうの杜は手厚い介護で好評であると紹介されましたが、経営が健全であればこそ手厚い介護が可能になります。(略)いま施設を利用している方が保険外のサービスを利用されるときには応分の費用をお支払いいただくという受益者負担の考えを持っていくこと、そしてスタッフの手が届かない分野ではボランテイアの皆様のお力をお借りして、利用者の満足度を高め維持していくこと、これによって現在の介護レベルを維持し、さらに向上させていく道が開けてくると信じています。
(略)昨日、家族会を卒業した方々で家族OB会が設立されました。全国に類のないことだと思いますし今後の連携を期待しております。そしてボランティアの皆様、家族会の皆様には、これからもこの施設の運営にご協力をいただきますようお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
平成27年7月25日
理事長 上田雅和
(上田医院院長)